サッカーの中継やデータサイトで、「xA」という数字を見かけることが増えました。xAは「期待アシスト」と訳される指標で、アシストの数だけでは測れない、パスの質を表すために使われます。この記事では、xAの意味、データ会社による定義の違い、アシスト・チャンスクリエイトとの違い、見るときの注意点を整理します。
xG(ゴール期待値)そのものの解説はxG(ゴール期待値)とはに詳しく書いています。ここでは、xGを前提に、パスの側を評価するxAに絞って解説します。定義は、Wyscoutのデータ用語集と、Opta系のメディアTheAnalystの解説に基づきます。サッカーのスタッツ全般はサッカーのスタッツ入門、アシストの記録のルールはオウンゴールとアシストの扱いもご覧ください。
先に結論|xAは「アシストになりそうだったか」を数字にしたもの
- アシストは、味方が得点して初めて記録される。xAは、パスそのものの質を評価する
- xAは、データ会社によって定義が少し違う(Wyscout:シュートにつながったパスにxGの値を付ける/Opta系:すべての成功パスに確率を付ける)
- xAとアシストの差は、パスの質と結果のズレ。決定力や運の影響も受ける
- 単独では評価せず、アシスト・チャンスクリエイトなどと併用する
xAとは|定義を2つ紹介
Wyscoutの定義:パスが生んだシュートのxG
Wyscoutのデータ用語集によれば、パスのxA値は「そのパスが生んだシュートのxG値」です。xAの値が付くのは、用語集で定義される「シュートアシスト」に該当するパスで、通常のパスのほか、クロス、コーナーキックのサーブ、スローイン、フリーキックからのパスでシュートにつながったものも対象です。
Opta系(TheAnalyst)の定義:成功パスがアシストになる確率
TheAnalystの解説では、xAは「あるパスがゴールアシストにつながる確率」で、0から1の範囲で示されます。0はアシストにならないパス、1は受け手が毎回得点するほど決定的なパスという意味です。完了したすべてのパスにxA値が割り当てられ、選手やチームの合計値から「本来いくつアシストしていてもおかしくないか」を見積もれます。
| Wyscout | Opta系(TheAnalyst) | |
|---|---|---|
| 対象のパス | シュートアシスト(シュートにつながったパス) | 完了したすべてのパス |
| 値の意味 | そのシュートのxG | アシストになる確率(0〜1) |
| 特徴 | シュートが生まれたパスだけに値が付く | シュートに至らなかったパスにも値が付く |
アシスト・チャンスクリエイトとの違い
| 指標 | 記録される条件 | 弱点 |
|---|---|---|
| アシスト | 味方が得点したとき | 味方が決めなければゼロ。パスの質だけを測れない |
| チャンスクリエイト | 味方がシュートしたとき | シュートの質は考慮しにくい |
| xA | シュートや得点の有無に関係なく(定義による)、パスの質で評価 | モデルによる推定値。定義の違いに注意 |
TheAnalystの解説は、xAは「アシスト」や「チャンスクリエイト」といった従来の指標を補う位置づけで、単独で評価するより、他の指標と併用するのが適切だとしています。
実例|2019-20シーズンのプレミアリーグ
TheAnalystの解説に、アレクサンダー=アーノルドとロバートソン(ともにリバプール)、デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)の例が載っています。
| 選手 | 総アシスト | オープンプレーのチャンスクリエイト | オープンプレーのアシスト | オープンプレーのxA |
|---|---|---|---|---|
| デ・ブライネ | 20 | — | — | — |
| アレクサンダー=アーノルド | 13 | 41 | 6 | 7.1 |
| ロバートソン | 12 | 41 | 10 | 4.9 |
アレクサンダー=アーノルドとロバートソンは、オープンプレーのチャンスクリエイト数がともに41でした。一方、オープンプレーのアシストはロバートソンが10、アレクサンダー=アーノルドが6で、xAは前者が4.9、後者が7.1でした。つまり、アレクサンダー=アーノルドはパスの質が高かったのに、アシストは期待値を下回り、ロバートソンは期待値を上回ったと解釈されます。
※デ・ブライネの欄の「—」は、同記事で本文に数字が掲載されていない項目です。
xAを読むときの注意点
- xAは推定値。ロジスティック回帰モデルで、パスの種類、プレーの局面、受け取り位置、出し手の位置、距離などをもとに算出される(TheAnalyst)
- 実際のアシストとの差は、受け手の決定力や運の影響を受ける
- Wyscoutでは、ペナルティやフリーキックにつながった被ファウル、パス後のオフサイド、VARで取り消されたゴールには、xA値が付かない
- データ会社が違えば、同じプレーでも数値が異なる。比較は同じ出典どうしで行う
- 1試合だけの数字はブレが大きい。シーズンを通した累計や、90分あたりの値で見る
観戦でのxAの活かし方
- アシストが少ない選手でも、xAが高ければ、チャンスを作る質の高いパスを出している可能性がある
- アシストが多い選手でも、xAが低ければ、受け手の決定力に助けられている可能性がある
- チーム全体のxAとxGを並べて、攻撃の組み立ての質を確認する
- クロス主体か、ラストパス主体かなど、チャンスの作り方の違いを見る
主なスタッツとしては、ほかに、シュート数、パス成功率、デュエル勝率などがあります。これらの基本はサッカーのスタッツ入門で解説しています。
合計の考え方|仮の例で理解する
xAの合計は、1本ずつのパスの値を足して求めます。以下は、理解のための仮の例(実際のデータではありません)です。
| パス | xA(仮) | 結果 |
|---|---|---|
| クロスA | 0.30 | シュートは外れた |
| スルーパスB | 0.50 | 味方が決めてアシスト |
| 縦パスC | 0.10 | シュートは防がれた |
この例では、3本のパスのxA合計は0.90で、実際のアシストは1本(1.00)です。実際のアシストが合計xAを上回っているため、「期待より多くアシストを記録した」と読みます。パスの質に対して、結果が上振れしたということです。
用語の整理|xG・シュートアシスト・チャンスクリエイト
- xG:シュートが得点になる確率の合計。詳しくはxG(ゴール期待値)とはで解説
- シュートアシスト(Wyscout):シュートにつながったパス。xAの対象
- チャンスクリエイト:味方のシュートにつながったパス
- アシスト:得点につながった最後のパス。記録のルールはオウンゴールとアシストの扱いで解説
データを見るときの手順
- まず、データの提供元と、xAの定義を確認する
- 次に、選手の出場時間をそろえ、90分あたりで比べる
- アシストとxAを並べて、ズレの大きさを見る
- パスの種類(クロス、スルーパスなど)とポジションの違いを考慮する
- 最後に、実際の試合映像で、パスの質を確かめる
ポジションによる違い
xAは、ポジションの役割によって水準が変わります。サイドバックやウイングはクロスを多く出し、トップ下やセントラルMFはスルーパスや縦パスでチャンスを作ります。同じxAの数字でも、ポジションが違えば意味が変わるため、同じ役割の選手どうしで比べるのが基本です。また、セットプレーのキッカーは、コーナーキックやフリーキックからのパスでxAが積み上がりやすい点にも注意してください。オープンプレー(流れの中)のxAと、セットプレーを含むxAは、分けて見ると選手の特徴がわかりやすくなります。
なお、ここで紹介した定義は、2026年10月時点の用語集と解説に基づくものです。データ会社がモデルを更新すると、同じプレーでも数値が変わる場合があります。
よくある質問
Q. xAが高い選手は、アシストも多いのですか?
必ずしも一致しません。質の高いパスを出しても、味方が決めなければアシストにならないためです。xAと実際のアシストのズレが、運や決定力の影響を示すこともあります。
Q. xAはどこで見られますか?
データ提供会社や、スタッツ専門のサイトで公開されています。見られる指標の種類や定義は、サイトによって異なります。
Q. xGとxAはどう違いますか?
xGは「シュート」の質、xAは「パス」の質を表します。Wyscoutでは、パスのxAは、そのパスが生んだシュートのxG値です。
まとめ|xAは「パスの質」を見る補助線
xAは、アシストの数では見えないパスの質を数字にした指標です。定義はデータ会社で異なりますが、実際のアシストとのズレから、選手の貢献を多面的に見られます。単独では判断せず、他のスタッツと組み合わせて使いましょう。
出典:Wyscout Data Glossary「xA」(dataglossary.wyscout.com)、TheAnalyst「What are expected assists (xA)?」(theanalyst.com)。2026年10月時点で確認。


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