結論から言うと、コリジョンルールは「ボールを持っていない捕手が、本塁へ向かう走者の走路をふさいではいけない」というルールです。公認野球規則の「本塁での衝突プレイ」にあたり(導入時は6.01(i)。2026年度のNPB公式の改正一覧では、捕手の走路妨害が6.01(h)として記載されています)、NPBでは2016年シーズンから導入されました。捕手が走路をふさいだと審判が判断すれば、走者にセーフが宣告されます。
観戦中に「今のはコリジョンでは?」と場内がざわつくのは、たいてい本塁クロスプレーの場面です。この記事では、ルールの中身、適用されない例外、実際にあった事例を整理します。
※規則や運用は改定されることがあります。この記事は、NPB公式サイトの掲載内容と報道(2016年・2024年)をもとにしています。細部は最新の公認野球規則やNPBの案内でご確認ください。
コリジョンルールとは?「本塁での衝突プレイ」の規則
正式には「本塁での衝突プレイ」に関する規則で、公認野球規則の6.01(妨害)に含まれます。ねらいは、本塁付近での大きな接触を減らし、選手を守ることです。
| 立場 | 求められること |
|---|---|
| 捕手(守備側) | 基本的に本塁の前に立つ。ボールを持たずに、走者の走路をふさがない・ブロックしない |
| 走者(攻撃側) | 守備者に体当たりをしない |
NPBの掲載では、本塁上のプレーで捕手がブロックする行為には規則を厳格に適用するとされています。さらに、衝突がなくても、捕手の立つ位置によっては警告が出ることがあります。
いつから?導入の経緯
- 2016年シーズンから導入
- 2016年7月22日以降は、走者が明らかに守備者へ向かって衝突した場合や、守備者が明らかに走者の走路を妨げて衝突が起きた場合に、運用基準にもとづいて適用する
導入初年度は判定をめぐって議論が起きやすく、2016年5月11日の阪神対巨人(甲子園)では、最初はアウトの判定だった本塁のプレーが、ビデオ判定の末にコリジョンルールの適用でセーフに覆りました。
例外:どんなときは適用されない?
走路をふさいでしまっても、必ず違反になるわけではありません。NPBの掲載では、送球がそれたため、守備者が走路に入らないと捕球できなかった、または走者との接触を避けられなかったと審判員が判断した場合は適用されないとされています。
また、2024年の報道では、捕手が送球を実際に捕球しようとして、結果的に走路をふさいだ場合(送球の方向、軌道、バウンドに反応した場合など)は違反とはみなされないと説明されています。
実際にあった事例で見る判定
① 2016年5月11日 阪神対巨人(甲子園)
- 3回2死二塁、巨人の適時打で本塁へ
- 捕手がタッチして最初の判定はアウト
- 巨人の高橋監督の要望でビデオ判定になり、コリジョンルールが適用されてセーフに変更
- 阪神の金本監督は強く抗議し、試合後に「ちゃんと説明してほしかった」と話した
② 2024年8月9日 DeNA対ヤクルト(横浜スタジアム)
- 2回無死一、三塁、一ゴロで三塁走者の牧選手が本塁へ滑り込む
- 一塁手の送球がわずかにそれ、捕手の内山選手がジャンプして捕球。着地した三本間の走路で牧選手にタッチ
- 球審の判定はアウト。三浦監督がコリジョンではないかとリクエスト
- リプレー検証の結果、コリジョンではないとしてアウトのまま。スタンドから大きなブーイング
同じ本塁のクロスプレーでも、結果が分かれました。②は、送球に反応して捕球した結果の位置取りが「不可抗力」と判断されたと報じられています。
関連する用語を整理
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 本塁クロスプレー | 走者と送球・捕手のタッチがほぼ同時になる、本塁でのきわどいプレー |
| タッチプレー | 野手がボールを持った手やグラブで、走者に触れてアウトにするプレー |
| 妨害(オブストラクション) | 守備側が、ボールを持たずに走者の進塁を妨げる行為。コリジョンルールはこのうち本塁での走路ふさぎに関する規定 |
| リクエスト | 監督が審判の判定に対してリプレー検証を求める制度 |
走者側のルールも知っておく
本塁に限らず、タッグプレイで走者が野手に乱暴に接触することは、危険防止の観点から禁止されています。2017年版のアマチュア野球内規の危険防止ルールでは、次のように説明されています。
- 走者がベースパスを外れて野手へ向かって滑る・走る、体をぶつける、足で野手を払う・蹴るなどの行為は、塁に向かっていても妨害とされる
- 野手がボールを明らかに保持している場合、走者は接触を避けるために避ける・減速するなどの対応が求められる
- 審判が故意の接触と判断した場合、野手が落球しても走者はアウトになる
- 極めて悪質な場合は、試合から除かれることもある
これはアマチュア野球の内規の説明で、NPBの運用そのものではありません。ただし、「選手を守るために、守備側と攻撃側の双方に行動の制限がある」という考え方は共通しています。
観戦前に知っておくと楽しくなる見方
コリジョンルールを知ると、本塁のクロスプレーが「捕手のうまさ」と「ルールの境目」の両方で楽しめます。たとえば、捕手がどこで送球を待つか、走者がどのラインを走るかは、そのまま判定に結びつきます。
とくに接戦の終盤は、1つの判定が勝敗を左右します。判定が覆る可能性があるため、結果が出るまで球場全体が静まり返る独特の時間も味わえます。
観戦で見るときのポイント
- 捕手がボールを持つ前に、走路に足や体を入れていないか
- 送球がそれて、捕手が動かざるをえなかったか
- 走者が守備者に向かって体をぶつけていないか
- 審判の説明やリクエストの結果(場内ビジョンの表示や場内アナウンス)
球場では、判定が出たあとの審判のジェスチャーや場内の案内に注目すると、どのルールが適用されたのかが分かりやすくなります。野球観戦が初めての方は、初めての野球観戦でありがちな失敗7選も読んでおくと安心です。
よくある疑問
Q. 捕手はもう本塁をブロックできない?
ボールを持たずに走路をふさぐことは認められていません。ただし、送球を捕るためにやむなく走路に入る場合などは例外です。
Q. 走者は体当たりしてもいい?
いいえ。走者も守備者に体当たりをしないことが求められています。
Q. 判定に納得いかないときは?
監督がリクエストをして、リプレー検証を求めることができます。2024年の事例でも、監督のリクエストにより検証が行われました。リクエストの回数や手続きの詳細は、NPBの案内で確認してください。
球場やテレビで判定を確認するコツ
本塁のクロスプレーでは、判定直後にすぐ結論を出さず、次の流れを待つのがおすすめです。
- まず審判のジェスチャー(アウト・セーフ)を確認する
- 監督がベンチを出てきたら、リクエストの可能性を考える
- 審判団が集まって協議している間は、リプレー検証中の可能性が高い
- 検証後は、審判から場内に結果が伝えられる
球場では、ビジョンにリプレーが流れる場合もあれば、流れない場合もあります。スマートフォンでの中継やラジオ実況を併用すると、状況をつかみやすくなります。
審判の判断は人間の目によるため、同じ場面でも見え方が分かれます。コリジョンルールは「走路をふさいだか」「ふさぐことが避けられなかったか」という判断が中心になるので、結果にかかわらず、両チームのファンが議論になりやすいルールでもあります。
試合を自宅で見たいときは
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まとめ
- コリジョンルールは、本塁で捕手が走路をふさぐこと、走者が体当たりすることを禁じるルール
- NPBでは2016年から導入
- 送球がそれるなど、避けられない状況では適用されない
- 迷う判定はリクエストで検証されることがある
参考にした情報
- NPB公式サイト:2016年ルール(本塁での衝突プレイ)
- 日刊スポーツ・デイリースポーツ等の報道(2016年5月11日、2024年8月9日の試合)
- アマチュア野球内規(2017年版)の危険防止ルール
※規則の最新の運用は、NPBや日本野球機構の公式発表でご確認ください。


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