「Jリーグがクラブに罰金」「無観客試合の可能性」といったニュースを見て、どんな仕組みで、誰が決めているのか気になった人もいるかもしれません。Jリーグには、規約に基づいて、クラブなどに懲罰を科す仕組みがあります。
この記事では、Jリーグの懲罰の種類と根拠、過去の事例、クラブが責任を問われる理由を、公式の発表を中心に整理します。選手個人の警告や退場による出場停止ではなく、クラブに科される制裁に絞って解説します。
先に結論|Jリーグの制裁を4行で
- 懲罰の種類は、Jリーグ規約の第142条に定められている。公式発表で多いのは、「けん責(始末書をとり、将来を戒める)」と「罰金」
- 罰金は、規約第152条で、2,000万円以下とされている。2022年には、浦和レッズに罰金2,000万円とけん責が科された
- 無観客試合や勝点減は、より重い懲罰として挙げられている。公式の記事で、「再発した場合に諮問する可能性がある」と示された例がある
- クラブは、規約第51条により、サポーターに秩序ある適切な態度を保たせる責任を負う
懲罰の根拠|Jリーグ規約のどこに書かれているか
Jリーグの懲罰決定のプレスリリースには、根拠となる規約の条文が書かれています。主なものは次のとおりです。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第3条 | 遵守義務 |
| 第51条 | Jクラブの責任。サポーターの行為にも責任を負う |
| 第133条第2号 | Jリーグにおける懲罰 |
| 第138条 | チェアマンによる懲罰 |
| 第142条第1項 | 懲罰の種類 |
| 第146条 | 両罰規定 |
| 第152条 | 2,000万円以下の罰金 |
2022年の浦和レッズの件では、第51条に違反したとして、懲罰を諮ることができる、とされました。最終的な決定は、第三者機関の裁定委員会への諮問を経て、チェアマンが行うとされています。
懲罰の種類|けん責・罰金・無観客試合
けん責
公式発表では、「始末書をとり、将来を戒める」と説明されています。クラブの職員による不祥事などで、このけん責のみが科された例があります。
罰金
罰金は、規約第152条で、2,000万円以下とされています。後ほど紹介するように、けん責と罰金が、あわせて科されることもあります。
無観客試合・勝点減などの重い懲罰
2014年のJリーグ規約の変更を伝える報道によると、従来の制裁は、けん責、制裁金、勝点減、出場権剥奪、除名でした。このとき、中立地での試合開催、無観客試合の開催、試合の没収、下位ディビジョンへの降格が、新たに加わったとされています。2022年の浦和レッズの件でも、再び同様の事案が起きた場合は、無観客試合や勝点減を諮問する可能性がある、と示されました。
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近年の公式事例
| 発表 | クラブ | 理由 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 2022年7月26日 | 浦和レッズ | サポーターによる声出し応援。5月21日の鹿島戦と7月2日のG大阪戦 | けん責、罰金2,000万円 |
| 2023年12月6日 | ヴァンラーレ八戸 | クラブのスタッフが酒気帯び運転で検挙された | けん責 |
| 2025年10月7日 | 高知ユナイテッドSC | 前監督による選手・スタッフへのハラスメントと、クラブの管理監督義務違反 | 罰金100万円、けん責 |
| 2026年5月26日 | アビスパ福岡 | 前監督のハラスメントを防ぐ体制の整備が不十分だった(内部統制上の不備) | 罰金100万円、けん責 |
事例から見える3つのポイント
1. サポーターだけでなく、職員や監督の行為も対象になる
2023年の八戸の件は、クラブのスタッフが、前夜に飲酒したあと、自家用車で仮眠をとり、自宅へ向かう途中に物損事故を起こして、酒気帯び運転で検挙されたものです。クラブは、このスタッフを諭旨解雇とし、Jリーグは、クラブにけん責を科しました。
2. 退任した人には、懲罰権が及ばない
2025年の高知の件では、前監督が、発表前の9月23日に退任していたため、Jリーグの懲罰権が及ばなくなっていました。ただし、裁定委員会により、けん責に相当すると確認され、本人に通知されています。クラブには、管理監督義務の違反が認められ、罰金100万円とけん責が科されました。
3. 防ぐ体制づくりも問われる
2026年の福岡の件では、前監督のハラスメントそのものだけでなく、防止し、早期に発見し、是正するための体制が整っていなかったことが、内部統制上の不備とされました。起きたことへの対応と、起きないようにする体制の両方が、見られています。
浦和レッズの事例|なぜ罰金が2,000万円になったのか
2022年7月26日に発表された懲罰では、浦和レッズに、けん責と罰金2,000万円が科されました。理由は、クラブが、サポーターに秩序ある適切な態度を保たせる義務に違反した、というものです。
- 5月21日の鹿島戦では、試合前に少なくとも60名が約10分間、集団で声を出して応援した
- 7月2日のG大阪戦では、試合終了間際に、ビジター席の上層階で、少なくとも100名が約5分間、集団で声を出して応援した
- 2020年10月の大分戦での同種の事案で、2021年2月に、罰金300万円とけん責を科されていたのに、短期間で繰り返した
- 事案のあとも、再三の求めに応じた対外的なステートメントや、再発防止策がとられなかった
このように、過去の処分の有無や、再発防止への対応も、量定の際に考慮されています。
なぜクラブが責任を問われるのか
サポーターの行為について、クラブが責任を問われるのは、不思議に思えるかもしれません。しかし、規約第51条は、クラブに、サポーターを秩序ある適切な態度にさせる責任を定めています。2014年の規約変更では、ビジタークラブのサポーターにも、試合の前後や試合中に、秩序ある適切な態度を保つよう努める義務が課されました。
クラブ運営の基準については、Jクラブライセンス制度とはでも解説しています。
懲罰のニュースを読むときのコツ
- 「諮ることができる」は、懲罰の検討段階を指す言葉で、決定ではない
- 決定は、「懲罰決定について」といったプレスリリースで、公表される
- 発表では、対象クラブ、事案、内容、根拠となる規約の条文を、順に確認する
- 「けん責」と「罰金」が、あわせて科されているかどうかにも注目する
速報だけを見ると、「処分が決まった」と受け取ってしまうことがあります。公式の発表で、検討段階なのか、決定なのかを確認すると、正確に理解できます。
観戦で気をつけること
- スタジアムごとの応援ルールや禁止事項を、観戦前に公式サイトで確認する
- 応援のルールは見直されることがあるため、最新の案内に従う
- ビジター席でも、ホームと同じように、秩序ある態度を保つ
- 気になる場面があれば、無理に対応せず、近くのスタッフに知らせる
観戦マナーの基本は、Jリーグのダービーとはや、Jリーグの昇格・降格の流れの記事も参考になります。
よくある質問
Q. 選手の警告や退場も、クラブへの制裁ですか。
いいえ。この記事で扱ったのは、クラブなどに科される懲罰です。選手個人の警告や退場による出場停止とは、別の話です。
Q. 無観客試合は、実際に科されたのですか。
この記事で取り上げた公式事例では、科されていません。2022年の浦和レッズの件では、再発した場合に諮問する可能性がある、と示されたにとどまります。
Q. 罰金は、いくらまで科されますか。
規約第152条では、2,000万円以下とされています。実際には、事案に応じて、100万円から2,000万円までの例が確認できます。
まとめ|懲罰は規約に基づき、事案に応じて決まる
Jリーグの懲罰は、規約に基づいて、けん責や罰金などが決まります。サポーターの行為でも、クラブが責任を問われるため、観戦するときも、ルールとマナーを意識することが大切です。最新の決定は、Jリーグの公式サイトで確認してください。


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