球場で試合を見ていると、5回が終わったあとに、グラウンドを整備する人たちが入ってくる場面があります。雨が降りそうになると、素早く内野にシートがかけられる様子も見られます。この仕事を担うのが、グラウンドキーパー(グラウンドスタッフ)です。
この記事では、グラウンドキーパーの仕事、甲子園球場の土の配合、芝の管理、観戦中に注目したいポイントを紹介します。阪神甲子園球場のグラウンドを整備している阪神園芸の事例を中心に、天然芝の球場として、エスコンフィールド北海道とマツダスタジアムも取り上げます。
先に結論|グラウンドキーパーの仕事を4行で
- グラウンドキーパーは、試合ができるよう、球場の土や芝を整える仕事。甲子園は阪神園芸が1979年から整備を担当している
- 甲子園の内野の土は、淡路島の赤土や黒土、砂をブレンドしたもの。春は砂を多め、夏は黒土を多めにして、天候に合わせて配合を調整する
- 整備は、試合前と5回の終了後が基本。夏は散水をし、雨が近づくと内野にシートをかけ、止んだらすぐに外す
- 天然芝の球場は、芝の育て方も球場ごとに工夫されている。エスコンフィールド北海道は、開閉式屋根の球場として国内初の天然芝
グラウンドキーパーとは|試合を支える仕事
グラウンドキーパーは、野球場のグラウンドの状態を保つ仕事です。選手がけがをせず、安全にプレーできるように、土と芝を整えます。仕事は、試合当日の整備だけではありません。日々の手入れや、季節に応じた土の調整も含まれます。
阪神甲子園球場の場合、阪神園芸のスタッフが、次のような仕事を担当しています。
- 試合当日の内野グラウンドの整備
- スコアボードの旗の上げ下ろし
- けがをした選手や、体調を崩した選手を運ぶこと、救急車の手配
- 外壁のツタに水をやり、剪定すること(専門の少人数のスタッフが担当)
グラウンドの整備は、試合の進行に直結する仕事です。2022年8月2日には、阪神園芸のグラウンド整備に、初めて女性スタッフが加わっています。
甲子園の土|何でできているのか
甲子園の内野の土は、淡路島の赤土と、黒土を混ぜ合わせ、粘り気を調整したものです。さらに、砂が加わります。
| 材料 | 内容 |
|---|---|
| 赤土 | 淡路島の赤土 |
| 黒土 | 産地は年によって変わる。津山(岡山)、鈴鹿(三重)、鹿屋(鹿児島)、大分、大山(鳥取)などの例がある |
| 砂 | 甲子園浜、瀬戸内海の浜など各地から集める。海外では、中国・福建省の砂が使われた例もある |
季節で変わる配合
| 季節 | 配合の考え方 |
|---|---|
| 春 | 雨が多いため、砂を多めにする |
| 夏 | ボールが見えやすいよう、黒土を多めにする |
配合の比率は、その年の天候に合わせて決められます。グラウンドキーパーの金沢健児さんは、「土が黒いほど、整備が行き届いたグラウンド」という趣旨の言葉を残しています。
1日の整備の流れ(甲子園の例)
試合前と5回の終了後には、内野をトンボなどで整えます。暑い夏にはホースで水をまき、土が適度な湿り気になるようにします。雨が近づくとシートをかけて内野を守り、雨が止んだらすぐにシートを外します。
雨のあとの回復例
雨天時の対応は、整備の腕が試される場面です。2017年のクライマックスシリーズでは、試合の途中のイニング間に内野の土を入れ替えて続行した例や、雨が止んだあとに約4時間半をかけて整備し、予定の18時に試合を始めた例が報じられています。雨の日の観戦の準備は、雨の日のプロ野球観戦ガイドも参考にしてください。
芝の管理|外野は天然芝、内野は土
甲子園は、外野が天然芝、内野が土のグラウンドです。内野を芝にする案も検討されましたが、選手の動きが多く、芝を維持するのがとても難しいため、見送られたとされています。
エスコンフィールド北海道|開閉式屋根で天然芝を育てる
北海道日本ハムファイターズの本拠地、エスコンフィールド北海道は、開閉式屋根の野球場として国内で初めて天然芝を採用しました。雪が降る寒冷地で芝を育てるために、さまざまな工夫が行われています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 芝の面積 | 内野と外野を合わせて約7,600㎡ |
| 育成期間 | 専用の天然芝を、約2年半かけて育てた |
| 事前検討 | 30分の1の模型(モックアップ)を6棟つくり、約2年かけて、寒冷地での芝の育て方を検討した |
| 温度管理 | フィールドの下に配管を通し、夏は冷水、冬は温水を流して、年間を通して芝に合う温度を保つ |
| 日当たり・風 | 南側はガラスの壁で、日光と風を取り入れる |
球場の様子は、エスコンフィールド北海道のグルメ案内でも紹介しています。
マツダスタジアム|天然芝ならではの打球
2009年4月に開場したMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島は、メジャーリーグの球場を思わせる天然芝のグラウンドです。人工芝の球場とは打球の転がり方が違うため、守備で苦労する選手もいるといわれています。球場へのアクセスは、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島への行き方で確認できます。
阪神園芸のあゆみ
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1968年 | 阪神電気鉄道の関連会社として、甲子園阪神パークの造園部門から発足 |
| 1979年 | 阪神甲子園球場のグラウンド整備を始める |
| 2012年 | 阪急クリエイティブを吸収合併(社名は阪神園芸のまま) |
| 2016年 | 楽天の宮城球場に、スタッフを1年間派遣し、土とマウンドの整備を担当 |
| 2022年8月2日 | 女性スタッフが初めてグラウンド整備に加わる |
グラウンド整備が試合に与える影響
内野の土は、硬すぎても柔らかすぎても、打球の跳ね方や選手の足元に影響します。そのため、グラウンドキーパーは、土の湿り気や硬さを見ながら整備を行います。試合の流れを止めないよう、短い時間で手際よく作業を終えることも、大切な役割です。観戦中に整備の場面があれば、スタッフの動きにも目を向けてみてください。
観戦で注目したいポイント
- 5回が終わったあと、整備スタッフがグラウンドに入る様子を見る
- 内野の土の色を見る。黒く均一に整っているほど、整備が行き届いている目安
- 雨が近づいたとき、内野をシートで覆う動きの速さに注目する
- 天然芝と人工芝の球場で、打球の転がり方がどう違うかを見比べる
- 夏は、散水で土の湿り具合が変わる様子を見る
球場による環境の違いは屋外球場とドーム球場の違いを徹底比較、球場選びはプロ野球12球場おすすめランキングや12球場の収容人数ランキングが参考になります。バックヤードを見学したい場合は、スタジアムツアー・バックヤード見学ガイドもおすすめです。
よくある質問
Q. グラウンドキーパーと、グラウンドスタッフは同じですか。
一般的には、どちらも球場のグラウンドを整える人を指す呼び方です。球場や会社によって、呼び方が異なることがあります。
Q. 甲子園は、内野も芝にしないのですか。
内野を芝にする計画も検討されましたが、選手が頻繁に動くため、芝を維持するのが非常に難しく、見送られたとされています。
Q. 甲子園の土は、いつも同じ配合ですか。
いいえ。春は雨が多いため砂を多めに、夏はボールが見えやすいよう黒土を多めにするなど、季節や天候に合わせて調整されます。黒土の産地も、年によって変わります。
Q. 天然芝のよさは何ですか。
メジャーリーグの球場を思わせる雰囲気があり、打球の転がり方も人工芝とは違うと言われています。一方で、育てるのに時間と手間がかかります。エスコンフィールド北海道では、専用の天然芝を約2年半かけて育てました。
まとめ|グラウンドの裏側を知ると、観戦が深まる
グラウンドキーパーは、土と芝を整え、選手が安全にプレーできる環境を守る仕事です。甲子園では、季節や天候に合わせて土の配合を変え、試合前と5回の終了後に整備し、雨が近づくとシートで内野を守っています。次に球場へ行くときは、5回終了後の整備や、内野の土の色にも注目してみてください。


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