結論から言うと、野球の「妨害」は「守備側が打者を妨げる打撃妨害」と「攻撃側が守備を妨げる守備妨害」、そして「ベースコーチが走者を助けてしまう肉体的援助」など、いくつかの種類に分かれます。どれも「審判が妨害と認めたとき」にペナルティが科され、記録のされ方も違います。
観戦中に「打者が一塁へ歩いていった」「走者がアウトになった」と戸惑う場面の多くは、妨害が絡んでいます。この記事では、NPB公式のコラムなどをもとに、打撃妨害と肉体的援助を中心に、記録と実例を整理します。
※規則は毎年見直されます。この記事は、NPB公式サイトの記録員コラム(2022年10月、2025年10月)と、野球専門メディアの解説をもとにしています。最新の内容は公認野球規則でご確認ください。
妨害の主な種類と結果
| 種類 | どんな場面 | 結果 |
|---|---|---|
| 打撃妨害 | 守備側が打者の打撃を妨げたと審判が判断したとき。多くは、打撃動作を始めた打者のバットに、捕手のミットが触れた場合 | 打者は一塁へ。妨害した野手に失策が記録される |
| 守備妨害 | 攻撃側が守備を妨げたとき。たとえば、打者が意図的にバットをミットの前に出す場合など | ペナルティが科される(詳しくは公認野球規則) |
| 肉体的援助(打者・走者の妨害) | 三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れる、または支えることで、帰塁・離塁を助けたと審判が認めたとき | 走者はアウト、ボールデッド |
打撃妨害とは?
打撃妨害は、守備側が打者の打撃を妨げたと審判が判断したときに宣告されます。最もよくあるのは、打撃動作を始めた打者のバットに、捕手のミットが触れたときです。打者が打つ前に、本塁上またはその前で野手が投球を捕球した場合にも宣告されます(野球専門メディアの解説より)。
記録上の扱い
- 打者は一塁へ進む
- 打席には数えられるが、打数には数えられない
- 妨害した野手に「失策」が記録される
- NPBの公式記録(オフィシャル・ベースボール・ガイド)では、打数の横に「▲」と表示される
- 出塁率の計算では「出塁」とみなされない
打数に数えないため、打率は下がりません。一方で、出塁にもならないため、出塁率の計算には含まれません。
打撃妨害の記録に関する実例
| 項目 | 内容(解説記事より) |
|---|---|
| 2021年 | DeNAの戸柱恭孝選手が1つ記録 |
| 通算 | 1位は中利夫選手、2位は与那嶺要選手 |
| 1シーズン | 小玉明利選手が1位 |
| 松井秀喜選手 | NPBで1999年と2000年に各1つ。MLBでは2003〜12年に10、2009〜11年に8記録したと紹介されている |
| 年代別 | 1960年代は両リーグ計80、2000年代は42、2010年以降は19 |
上の表のとおり、年代別の件数は1960年代の80から、2010年代以降の19へと減っています。打撃妨害は、狙って記録するものではなく、あくまでアクシデントです。意図的にバットをミットの前に出すと、「守備妨害」に問われる危険性があります。
ベースコーチの「肉体的援助」とは?
「肉体的援助」は、少し聞き慣れない言葉です。NPB公式の記録員コラム(2025年10月17日)で紹介されたルールで、三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れる、または支えることで、塁への帰塁や離塁を肉体的に助けたと審判員が認めた場合に、走者の妨害(インターフェア)になる、という規定です(規則6.01(a)(8))。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 罰則 | 走者のアウト、ボールデッド |
| 他の走者 | 妨害が発生したときに占有していた塁に戻る |
| 用語の由来 | 米国のOfficial Baseball Rulesの”physically assists”を、日本野球規則委員会が和訳したもの |
| 今後 | より的確な表現として、日本で定着している「アシスト」に改める検討が進められている |
実例:2025年6月29日 ロッテ対ソフトバンク(ZOZOマリン)
- 7回裏無死一、二塁で、ソト選手の二塁打により西川選手が生還
- 続いて、ポランコ選手が本塁へ向かう際、三塁ベースコーチが制止しようとして両者が接触
- 三塁塁審は、ポランコ選手をアウトと判定
- 場内放送では「肉体的援助でアウト」と説明された
コラムでは、2015年4月30日の巨人対中日戦で、長野久義選手が同様にアウトになった例も紹介されています。
なお、この規定は、2026年度の野球規則改正(NPB公式サイト、2025年11月20日発表)でも、6.01(a)(8)として改正の対象に含まれています。
失策になる妨害:野手が味方の邪魔をした場合
NPB公式の記録員コラム(2022年10月5日)では、野手同士の交錯が失策になった例が紹介されています。2022年9月12日の楽天対オリックス戦で、前進守備のショートが後方へ下がりながら捕球しかけたところ、前進してきたレフトと交錯してボールを落とし、記録はレフトの失策とされました。
- 根拠は、野球規則9.12(失策)(a)(1)の原注3
- 野手が、他の野手のミスプレイの原因になった場合は、失策を記録する
- 妨げた野手に失策を記録したときは、妨げられた野手には失策を記録しない
レフトは打球に直接触れていませんが、味方の捕球を妨げたため、失策になりました。野球の記録は、見た目だけでは判断できない細かな決まりがあることが分かります。
用語を整理
- インターフェア:攻撃側(打者・走者など)による妨害。ベースコーチの肉体的援助は、規則上、打者または走者の妨害(インターフェア)とされる
- オブストラクション:守備側が走者の進塁を妨げる走塁妨害
- 打撃妨害:守備側が打者の打撃を妨げること。打者は一塁へ進む
- 失策:野手が普通のプレーで失敗し、打者や走者を生かすこと
- ボールデッド:プレーが止まった状態(その間の進塁などは無効になる)
観戦で見るときのポイント
- 打者が打ったあとにバットとミットが当たったら、打撃妨害の可能性
- 打者が一塁へ向かうのに、スコアボードの打数が増えない場合は、打撃妨害かもしれない
- 三塁コーチが走者に触れてアウトになったら、肉体的援助の可能性
- 外野手と内野手が交錯してボールを落としたら、記録員がどちらに失策を付けるかに注目
試合後に、公式記録の「▲」の表示や、失策の記録を確認すると、妨害の記録を発見できることがあります。初めての野球観戦で戸惑ったときは、初めての野球観戦でありがちな失敗7選も参考にしてください。
よくある疑問
Q. 打撃妨害で打者はどうなる?
打者は一塁へ進みます。打席に数えられますが、打数にはなりません。妨害した野手に失策が記録されます。
Q. 打撃妨害の記録は打率に影響する?
打数に数えないため、打率の分母は増えません。ただし、出塁率の計算では「出塁」とみなされません。
Q. 肉体的援助はなぜ「アシスト」と呼ばれる?
NPB公式のコラムでは、日本で「アシスト」という言い方が定着しているため、規則の表現を「アシスト」に改める検討が進められていると説明されています。
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この記事で確認できていないこと
- 走塁妨害(オブストラクション)の詳しい扱い
- 守備妨害の詳細なペナルティ
- 2026年シーズンの実際の適用事例
まとめ
- 打撃妨害は、守備側が打者の打撃を妨げたとき。打者は一塁へ進み、打数にならず、妨害した野手に失策がつく
- 肉体的援助は、ベースコーチが走者に触れて、帰塁・離塁を助けたとき。走者はアウト
- 野手同士の妨害でも、失策になる場合がある
参考にした情報
- NPB公式サイト:NPBニュース【記録員コラム】(2022年10月5日、2025年10月17日)
- 野球専門メディアの打撃妨害に関する解説記事
- NPB公式サイト:2026年度 野球規則改正(2025年11月20日発表)
※規則の最新の内容は、公認野球規則やNPB公式サイトでご確認ください。


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