プロ野球のシーズンが終わりに近づくと、MVPや新人王、ベストナインなどの表彰が次々と発表されます。その中でも「守備のベストナイン」と呼ばれるのが、ゴールデン・グラブ賞です。打撃成績が注目されやすい野球において、守備に光を当てる貴重な賞といえます。
この記事では、ゴールデン・グラブ賞の基本から、選ばれ方(投票の仕組みと対象になる条件)、ベストナインとの違い、受賞者の見方までを整理します。「グラブ賞って誰が決めているの?」「どんな選手が選ばれるの?」という疑問に、公式発表や報道をもとに答えていきます。
先に結論|ゴールデン・グラブ賞は「記者投票で決まる守備のベストナイン」
- 正式名称は「三井ゴールデン・グラブ賞」で、三井広報委員会が提供している
- セ・パ両リーグの各ポジションで、守備に優れた選手を表彰する
- 選ぶのは、プロ野球の現場取材歴5年以上の担当記者による投票
- 投票の対象になるには、守備位置ごとに一定以上の出場試合数や投球回が必要
- 総合力で選ばれるベストナインと違い、守備を評価する賞
受賞者の守備を映像で見返したい人は、有料放送のサービスを利用する方法もあります。
ゴールデン・グラブ賞とは?基本と歴史
ゴールデン・グラブ賞は、その年に卓越した守備でチームに貢献した選手を、投票で選ぶ賞です。投手、捕手、一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手、外野手(3名)の各ポジションから、セ・リーグ、パ・リーグそれぞれ9名が選ばれます。
この賞は、1972年に三井物産スポーツ用品販売(当時)の申し入れにより「ダイヤモンドグラブ賞」として制定されました。1986年からは三井広報委員会が提供を引き継ぎ、現在の名称になりました。三井広報委員会は、三井グループ企業24社で構成されていると、三井化学の発表資料で紹介されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 三井ゴールデン・グラブ賞 |
| 提供 | 三井広報委員会 |
| 始まり | 1972年(当初は「ダイヤモンドグラブ賞」) |
| 表彰人数 | セ・パ各リーグ9名(投、捕、一、二、三、遊、外野3) |
| 選考方法 | プロ野球担当記者による投票 |
選ばれ方|誰が、どうやって決めているのか
投票するのは現場取材歴5年以上の記者
投票者は、新聞・通信・テレビ・ラジオの各媒体で、プロ野球の現場取材歴が5年以上ある担当記者です。例えば2020年度(第49回)は、114社394名の記者投票で決定されたと、三井化学の発表で紹介されています。
現場で試合を見続けている記者が、ポジションごとに「守備でチームに貢献した選手」を選ぶ形式のため、打撃成績や数字に表れにくいプレーも評価の対象になり得ます。
投票の対象になる条件
誰でも投票の対象になるわけではなく、守備位置ごとに出場試合数や投球回の条件があります。2020年度の発表では、次のような基準が示されていました。
| ポジション | 2020年度の対象基準 |
|---|---|
| 投手 | 規定投球回数以上、またはチーム試合数の1/3以上に登板 |
| 捕手 | チーム試合数の1/2以上、捕手として出場 |
| 内野手 | チーム試合数の1/2以上、1つのポジションを守備 |
| 外野手 | チーム試合数の1/2以上、外野手として出場 |
2020年度は新型コロナウイルスの影響でレギュラーシーズンが120試合だったため、1/3は40試合以上、1/2は60試合以上にあたります。通常の143試合のシーズンでは、報道で「投手は143投球回以上、または47試合登板以上」「野手は各ポジションで71試合出場以上」と紹介された例があります(2021年度)。このように、基準はシーズンの試合数に応じて変わる点に注意してください。
ベストナインとの違いは?
「ゴールデン・グラブ賞」と「ベストナイン」は混同されがちですが、評価の観点が異なります。ベストナインは打撃も含めた総合力で、各ポジションの最優秀選手を選ぶ賞です。一方、ゴールデン・グラブ賞は、守備に焦点を当てた表彰です。三井化学の発表でも、総合力で選ばれる従来のベストナインとは観点が異なると説明されています。
| ゴールデン・グラブ賞 | ベストナイン | |
|---|---|---|
| 評価の中心 | 守備 | 打撃・守備などの総合力 |
| 選ぶ人 | プロ野球担当記者(取材歴5年以上) | 記者投票(詳細は別記事を参照) |
ベストナインを含むNPBの表彰全体の仕組みはNPBの表彰の選ばれ方の記事で、各タイトルの結果は2026年プロ野球 個人タイトル全結果で確認できます。
受賞者の傾向と見方
同じ選手が長く受賞し続けることがある
守備の評価は、ケガや衰えがない限り急に変わりにくいため、同じ選手が何年も連続で受賞することがあります。報道では、広島の菊池涼介選手が2013年から8年連続で受賞していたと紹介されています。守備位置を代表する名手が長く表彰されるのは、この賞の特徴のひとつです。
同票なら複数人が受賞する
2020年度のパ・リーグ一塁手は、中村晃選手と中田翔選手が同票となり、両者が受賞しました。このように、得票が並んだ場合は、複数人が受賞する場合があります。
守備指標との違いにも注目
近年は、データを使った守備の評価も広がっています。UZRなどの守備指標は、打球の飛んだ方向や難易度を考慮して守備での貢献度を数値化する考え方です。一方で、ゴールデン・グラブ賞は記者の評価という人間の目による判断です。両方を見比べると、「数字は低いけれど記者の印象が強い」「数字は高いのに受賞を逃した」といった違いが見えてきます。守備指標の基本は野球のセイバーメトリクス入門を参考にしてください。
ポジション別|守備のどこを見ればいい?
| ポジション | 注目したいプレー |
|---|---|
| 投手 | バント処理、牽制、ゴロ処理などのフィールディング |
| 捕手 | 盗塁阻止、ブロッキング(ワンバウンドの処理)、フレーミング |
| 一塁手 | 送球の捕球(ショートバウンド処理)、ゴロの処理範囲 |
| 二塁手・遊撃手 | 打球への一歩目、併殺プレーの連係、守備範囲 |
| 三塁手 | 強い打球への反応、スローイングの強さ |
| 外野手 | 打球判断、フェンス際の処理、バックホームの正確さ |
守備の評価は数字だけでは測りにくい面がありますが、ポジションごとの役割を意識して見ると、ファインプレーの価値が分かりやすくなります。たとえば遊撃手は、三遊間の深い打球を処理して一塁へ送球する場面が多く、足腰の強さと肩の強さが求められます。二塁手は、併殺の際に走者のスライディングをかわしながら送球するため、素早い身のこなしが必要です。外野手は、打球が上がった瞬間にどこへ落ちるかを判断する能力が欠かせません。
こうした守備の特徴を知ったうえで試合を見ると、普段はあまり注目されない「守りの名シーン」が目に入りやすくなります。ゴールデン・グラブ賞の発表をきっかけに、受賞選手の守備に注目してスタンドで確かめてみるのも、観戦の楽しみ方のひとつです。
観戦で「守備の名手」を楽しむコツ
- 試合が始まる前の守備練習(ノックやキャッチボール)で、動きの質を見る
- 打球が飛んだ瞬間の、野手のスタートの速さに注目する
- ポジションごとの役割を知る。野球の守備位置とポジション番号で基本をおさらいできる
- 捕手の仕事はリードだけではない。捕手の仕事とリード・フレーミングも合わせて確認
- 外野手は、打球判断の速さとバックホームの精度を見る
特に、外野席や内野席の中段から見ると、野手のポジショニングや打球に対する一歩目がよく分かります。席選びの考え方は野球場・サッカースタジアムのおすすめ座席の選び方も参考にしてください。
受賞者の発表時期と確認方法
ゴールデン・グラブ賞は、シーズン終了後の秋から冬にかけて発表されます。例えば、2021年度は12月2日に発表されたと、報道で紹介されています。具体的な日程は年によって異なるため、最新情報は提供元の発表やプロ野球ニュースで確認してください。
シーズンの順位や個人タイトルの結果は2026年プロ野球の最終順位まとめでまとめています。
よくある質問
Q. 投手も対象ですか?
はい、投手も対象です。規定投球回に達するか、一定以上の登板数があることが条件とされています。
Q. 守備位置を変えた選手はどう扱われますか?
内野手は「1つのポジションを一定試合数守備すること」が条件として紹介されています。ポジションを転々とした選手は、いずれの守備位置でも投票の対象に入りにくい場合があります。
Q. ベストナインと両方受賞する選手はいますか?
います。打撃と守備の両方で高く評価された選手は、両方の賞を受賞することがあります。ただし、毎年の受賞者は異なるため、最新の結果を確認してください。
まとめ|守備の名手に注目すると、野球はもっと面白くなる
ゴールデン・グラブ賞は、記者投票で選ばれる「守備のベストナイン」です。打撃成績では目立たない選手のファインプレーや、堅実な守備に光を当ててくれます。受賞者の発表を機に、守備の名手のプレーを球場で観察してみてください。
※本記事の内容は、三井化学(三井広報委員会)の発表資料およびベースボールチャンネルの報道をもとにしています。選考基準や日程は年度によって変更される場合があります。


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