プロ野球の選手は、いつか必ず現役を引退します。引退した元選手が、テレビやラジオで解説をしていたり、チームのコーチを務めていたりする姿を見て、「引退後は、どんな道があるのだろう」と思った人もいるかもしれません。
この記事では、プロ野球選手の引退後のキャリアについて、NPBが毎年行っているアンケートと、報道で確認できた範囲で整理します。コーチと監督の仕事そのものは別の記事で扱い、ここでは「どんな進路があるか」を中心にまとめます。殿堂入りした名選手の記録は野球殿堂入りの条件で整理しています。
先に結論|引退後のキャリアを5行で
- 従来の主な進路は、テレビ・ラジオの解説者、スポーツ新聞の評論家、飲食店の開業など
- NPBのアンケート(フェニックス・リーグ参加の若手選手)では、引退後にやってみたい仕事は、会社経営や高校野球の指導者が上位
- 2024年の調査では、1位が会社経営者(18.8%)、2位が高校野球の指導者(18.2%)、12球団の監督・コーチは11.6%
- 解説者の仕事は、現在は単発契約が中心とされ、出演料は1試合7万円程度との証言もある
- 数字は、現役の若手選手の希望であって、実際の進路の割合ではない
従来の主な進路|解説者・評論家・飲食店
現代ビジネスの2024年11月の記事によると、引退後の進路として、従来から多かったのは、次の3つです。
- テレビ・ラジオのプロ野球解説者
- スポーツ新聞の評論家
- 飲食店の開業(後援者が開店資金を支援することも多かった)
球界OBの証言として、景気が良かった時代は、メディア関係の仕事で年収1000万円ほどを稼げたようだ、と紹介されています。
今の解説者の仕事
一方で、メディアの衰退により、現在の仕事は単発契約が中心になっている、と記事は伝えています。球団制作の中継(DAZNなどで配信)の出演料は、1試合7万円程度で、出演は月に1、2本あるかどうかという証言もあります。そのため、別の仕事と掛け持ちしなければ、生活するのは難しい、という声も紹介されています。
この内容は、一部の球界OBの証言に基づく記事であり、すべての解説者に当てはまるわけではありません。金額や条件は、人によって大きく異なると考えられます。
現役の若手選手は、何を希望しているのか
NPBは、毎年、みやざきフェニックス・リーグに参加した12球団の若手選手に、無記名のアンケートを行っています。「引退後にやってみたい仕事」の結果を、年ごとに並べてみます。
| 順位 | 2019年(215人) | 2022年(291人) | 2024年(292人) |
|---|---|---|---|
| 1位 | 企業・会社経営 21.4% | 高校野球の指導者 17.9% | 会社経営者 18.8% |
| 2位 | 社会人・クラブで現役続行 16.3% | 会社経営者 17.2% | 高校野球の指導者 18.2% |
| 3位 | 12球団の監督・コーチ 15.8%、高校野球の指導者 15.8%(同率) | 12球団の監督・コーチ 14.4% | 海外球団で現役続行 13.7% |
| 4位 | (3位が同率のため4位なし) | 海外球団で現役続行 12.0% | 社会人・クラブで現役続行 11.6%、12球団の監督・コーチ 11.6%(同率) |
| それ以下 | 一般企業の会社員 13.5%(5位) | 社会人・クラブで現役続行 10.7%、大学野球の指導者 10.0%、会社員 9.3% | 12球団のスカウト・スコアラー 10.3%(6位) |
調査の対象は、フェニックス・リーグに参加した若手選手に限られます。結果の範囲は限定的で、プロ野球選手全体の希望や、実際の進路の割合を示すものではありません。
2019年の調査の補足
2019年の調査では、平均年齢が23.1歳、プロ在籍が平均3.2年、平均年俸が994.5万円という若手選手が対象でした。2013〜2017年は5年連続で高校野球の指導者が1位でしたが、2018年は一般企業の会社員が1位、2019年は企業・会社経営が1位と、年によって変動しています。
調査結果の読み方
このアンケートは、毎年、みやざきフェニックス・リーグに参加した12球団の若手選手に、無記名で実施されています。対象はプロ入り数年の若手が中心で、ベテランや一軍の主力選手の考えとは異なる可能性があります。順位だけでなく、「どの項目が上位に入っているか」「年ごとにどう変わっているか」を見ると、時代の変化が見えてきます。
たとえば、2013〜2017年は5年連続で高校野球の指導者が1位でした。2018年は一般企業の会社員が1位、2019年は企業・会社経営が1位、2022年は高校野球の指導者、2024年は会社経営者が1位です。上位は毎年入れ替わっており、特定の進路に偏らず、選手の希望が多様であることがうかがえます。
また、2022年と2024年には、「海外球団で現役続行」が上位に入っています。引退後の仕事というより、現役生活を続ける先として、海外が選択肢に入っている点も、特徴的です。
「やってみたい」と「なれる」は別
アンケートの項目名は、「引退後にやってみたい仕事」です。希望の割合が高い進路でも、実際に就ける人数には限りがあります。12球団の監督・コーチのポストは、球団ごとに数が決まっているため、現役を引退した全員が就けるわけではありません。
たとえば、巨人の2022年のコーチングスタッフは、一軍11名、二軍8名、三軍8名、巡回2名と紹介されています。こうした人数が、球団に残れる枠の目安になりますが、現役を引退する選手の人数と照らし合わせた統計は、今回確認した資料にはありません。
Q. 球団職員になる道はありますか。
NPBのアンケートの選択肢には、12球団のスカウト・スコアラーが含まれています。球団職員の仕事全般については、確認した資料に詳しい記載がありません。各球団の採用情報で確認してください。
引退後の道は、一人ひとりの経歴や希望によって大きく異なります。ここで紹介した数字や証言を、自分に当てはまる唯一の答えとして受け取らず、時代ごとの傾向を知る材料として読むのがよいでしょう。
進路の種類を整理する
| 進路 | 内容(調査の選択肢などから) |
|---|---|
| プロ野球の指導者 | 12球団の監督・コーチなど。コーチ・監督の仕事は別の記事で解説 |
| アマチュアの指導者 | 高校野球、大学野球の指導者 |
| 球団の裏方 | 12球団のスカウト・スコアラー |
| 現役を続ける | 社会人・クラブチーム、海外球団で現役続行 |
| ビジネス | 会社経営者(独立・起業)、一般企業の会社員 |
| メディア | テレビ・ラジオの解説者、新聞の評論家 |
これらは、アンケートの選択肢や報道に出てくる進路であり、すべてではありません。進路の選び方は人によって異なります。
観戦者として、元選手の活躍を見るコツ
- 解説者の話は、現役時代の経験に基づいたもの。ポジションごとの見方など、観戦のヒントになる
- コーチとしてベンチにいる元選手は、球団の公式サイトで紹介されている
- 球団制作の中継や配信では、元選手が出演する番組もある
- 引退試合やセレモニーは、元選手の新しい道を見守る機会にもなる
よくある質問
Q. 引退した選手は、みんなコーチや解説者になれますか。
いいえ。確認した記事では、解説者の仕事は単発契約が中心とされています。監督・コーチに就くのは、12球団のポストに限られるため、アンケートでも希望者の割合は2割に届きません。
Q. 解説者の収入は、いくらですか。
一部の球界OBの証言として、景気の良かった時代は年収1000万円ほど、現在は球団制作の中継の出演料が1試合7万円程度で、出演は月に1、2本、という内容が紹介されています。全員に当てはまる数字ではありません。
Q. 引退後の進路で、いちばん人気があるのは何ですか。
NPBのアンケートでは、年によって順位が変わります。2024年は、会社経営者が18.8%で1位、高校野球の指導者が18.2%で2位でした。
Q. 引退後すぐに、別の仕事を始める人が多いのですか。
今回確認した資料には、実際の進路の割合に関する統計が含まれていません。アンケートは若手選手の「やってみたい」という希望であり、引退後の実際の動きを示すものではありません。
Q. 現役を引退したあとも、野球に関わる仕事はありますか。
アンケートの選択肢には、高校野球や大学野球の指導者、12球団の監督・コーチ、スカウト・スコアラーなどがあります。メディアの分野でも、解説者や評論家として野球に関わる道が、報道で紹介されています。
ここで紹介したアンケートや報道の内容は、いずれも特定の時点のものです。最新の状況は、NPBや各球団の公式発表で確認してください。
まとめ|選手の数だけ、引退後の道がある
プロ野球選手の引退後の進路は、解説者や評論家、飲食店の開業といった従来の道に加え、会社経営や高校野球の指導者、海外や社会人での現役続行など、多様になっています。NPBのアンケートは若手選手の希望であり、実際の進路とは異なりますが、時代ごとの意識の変化を知る手がかりになります。


コメント