サッカーの試合では、ピッチの中で笛を吹く主審のほかに、タッチラインの近くで旗を上げる人や、ベンチ付近のボードを持つ人など、複数の審判員が働いています。それぞれ何をしているのかが分かると、判定の場面や試合の進行が、ぐっと理解しやすくなります。この記事では、審判団の役割を、観戦の場面と結びつけて整理します。
先に結論|審判団は「分担して試合を成立させるチーム」
サッカーの審判団は、主審を中心に、副審、第4の審判員で構成されるのが基本です。大会や試合によっては、ビデオを使って判定を確認するVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のチームも加わります。最終的な判定は主審が下しますが、他の審判員は、見えにくい場面を補ったり、試合の進行を支えたりする役割を担っています。
- 主審:試合をコントロールし、最終的な決定を下す
- 副審:オフサイドやボールがラインを出たかなどを、旗で主審に知らせる
- 第4の審判員:選手交代の手続きやベンチ周辺の管理、アディショナルタイムの表示を担当
- VAR:大きな判定の見落としや誤りがないかを、映像で確認して主審を助ける(実施される大会のみ)
主審の役割
主審は、試合で競技規則を施行する一切の権限を持つ審判員です。日本サッカー協会(JFA)が公開している競技規則(2024/25)では、主審の決定は、得点や試合結果を含め、プレーに関する事実について最終的なものとされています。笛でプレーを止めたり再開したりするのも、イエローカードやレッドカードを出すのも、主審の役目です。
主審が担う主な仕事
- 競技規則を適用し、他の審判員と協力して試合をコントロールする
- ファウルや反則があったときに、プレーを止めるか、流すかを判断する(アドバンテージ)
- タイムキーパーとして、試合時間やアディショナルタイムを管理し、記録を取る
- 警告や退場といった懲戒処置を行う
- 試合後に、審判報告書を提出する
アドバンテージとは、反則があっても、反則を受けたチームに有利な展開が続きそうなときに、笛を吹かずにプレーを流すことです。期待した利益が数秒以内に得られなければ、その反則を罰します。主審が腕を前に出して「流す」仕草をしたら、アドバンテージのサインです。
副審の役割
副審は、左右のタッチライン沿いに1人ずつ立ち、旗を使って主審に合図を送ります。オフサイドの判断、ボールがタッチラインやゴールラインを越えたかどうか、どちらのチームがスローインやコーナーキック、ゴールキックを行うか、といった場面で活躍します。
観戦で見かける副審の動き
- 旗を上げてオフサイドを知らせる
- 旗の向きで、スローインの方向を示す
- ゴール前の混戦で、ボールがゴールラインを越えたかを確認する
副審は、オフサイドラインに沿って、守備側の最後尾の選手の位置と合わせるように移動します。ゴール裏の席から見ると、副審がラインと平行に動いている様子がよく分かります。オフサイドのルールが気になる方は、初めてのサッカー観戦の完全ガイドも参考にしてみてください。
第4の審判員の役割
第4の審判員は、ピッチの外のハーフウェーライン付近に立ち、主審や副審の補助を行います。選手交代の手続きの確認、交代する選手の用具のチェック、予備のボールの管理、ベンチの人たちの行動の見守りなどが主な仕事です。
アディショナルタイムの表示
後半終了間際に、電光ボードで「+3」などの数字が掲示される場面を見たことがあるかもしれません。このボードを掲げるのは、第4の審判員です。表示される数字は、主審が決めたアディショナルタイムの最低限の目安で、実際にはその時間を超えて試合が続くこともあります。サッカーの延長戦・PK戦のルールの記事でも、試合時間と追加時間の考え方を解説しています。
VARと追加の審判員
近年、一部の大会や試合では、VARが導入されています。VARは、得点、PK、退場、人違いといった、試合に大きな影響を与える場面で、明らかな誤りや見落としがないかを映像で確認し、主審に助言する仕組みです。主審が自分でモニターを見て確認する「オンフィールドレビュー」を行う場合もあります。
また、国際大会などでは、ゴールライン付近に追加副審が配置される場合もあります。どの大会でVARや追加副審が使われるかは、大会ごとに異なるため、観戦前に公式サイトなどで確認すると安心です。
実際に観戦へ行く予定が立ったら、初心者におすすめのJリーグ観戦ガイドもあわせてチェックしてみてください。
審判の合図の見方
審判のジェスチャーを知っておくと、実況や解説を聞かなくても、判定の内容を推測できます。主審が笛を吹いたあと、どちらのチームのボールで再開するかは、腕の向きで示されます。攻める方向に腕を伸ばせば、そのチームのボールという意味です。ペナルティーエリアの中で反則があった場合は、ペナルティマークを指さします。
カードを出すときは、ポケットから取り出して、頭上に掲げます。イエローカードは警告、レッドカードは退場の合図です。カードの種類や基準は、別の記事で詳しく扱いますが、まずは「主審が腕を上げてカードを見せたら、重い反則があった」と覚えておくと十分です。
アドバンテージのときは、両腕を前方に広げるような動作をして、プレーを続けさせます。このとき、観客席からはブーイングが出ることもありますが、反則を受けたチームに有利な展開が続いていれば、続行が正しい判断になります。
比較表|審判団の役割まとめ
| 役職 | 主な位置 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 主審 | ピッチ内 | 最終的な判定、笛、カードの提示、試合時間の管理 |
| 副審(2人) | 左右のタッチライン沿い | オフサイド、ボールがラインを出たかの合図、スローインなどの方向の合図 |
| 第4の審判員 | ハーフウェーライン付近 | 選手交代の手続き、ベンチ周辺の管理、アディショナルタイムの表示 |
| VAR・AVAR | ビデオルーム(スタジアム外のこともある) | 得点・PK・退場・人違いなどの映像確認と主審への助言(実施される試合のみ) |
チェックリスト|審判に注目する観戦ポイント
- 主審がどのような位置取りで走っているか(プレーを妨げず、見える角度を保つ)
- 副審の旗がどのタイミングで上がるか
- 後半の終盤に、第4の審判員がボードを掲げる時刻
- 選手交代のときに、ベンチ前でどんなやりとりがあるか
- 判定に疑問が出たとき、主審が副審やVARと連絡を取っているか
注意点とよくある質問
Q. 副審が旗を上げても、主審が笛を吹かないことはありますか?
あります。副審が旗を上げても、最終的に判定を下すのは主審です。オフサイドの旗が上がっていても、主審が笛を吹かずにプレーを続けさせる場面や、反対に、旗が上がっていないのに主審が自ら判断する場面があります。
Q. 審判団はどうやって連絡を取っていますか?
競技によっては、審判団の間で通信機器を使って連絡を取っている場合があります。観戦中に、主審が耳元に手を当てているような様子が見られるのは、その一例です。ただし、使われる機器や運用方法は、大会ごとに異なります。
Q. 審判の判定に不満があるときは?
審判の判定に納得できない場面もありますが、スタジアムでは、他の観客の迷惑にならないように楽しむことが大切です。マナーについては、サッカー観戦でありがちな失敗7選や、Jリーグ観戦の1日の流れを参考にしてください。
まとめ
サッカーの審判団は、主審、副審、第4の審判員を基本に、大会によってVARなどが加わり、役割を分担しながら試合を成立させています。判定の最終的な決定権は主審にあり、他の審判員は、見えにくい場面を補う役割を担います。次の観戦では、ボールだけでなく、審判団の動きにも目を向けてみてください。試合の見え方が、また一段と深まります。


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