試合中に選手が倒れ込み、担架やメディカルスタッフがピッチに入ってくる場面があります。「どのタイミングで試合が止まるのか」「なぜ治療のあと、すぐに戻れないことがあるのか」と疑問に思った人もいるかもしれません。
この記事では、競技規則(IFAB)にもとづいて、負傷時の試合の止め方、担架とメディカルスタッフの入場、そして2026/27シーズンから加わった「1分間ルール」を整理します。交代や脳振盪交代のルールはJリーグの交代ルールで解説しているので、ここでは、負傷への対応そのものに絞ります。
先に結論|負傷時の対応を5行で
- 軽い負傷なら、ボールがアウトオブプレーになるまで、プレーは続けられる
- 重い負傷なら、主審がプレーを止める。負傷した競技者は、原則としてフィールド上では治療できず、外に出る
- メディカルスタッフや担架がフィールドに入れるのは、主審が許可したあと。許可後は、担架か自力でフィールドを出る
- 2026/27シーズンから、治療や診断を受けた競技者は、プレーが再開されてから1分間は、フィールドの外にいることになった
- GKの負傷、頭部などの重い負傷、相手の反則による負傷などは、1分間ルールの例外
試合の止め方|軽い負傷と重い負傷
競技規則は、負傷の程度によって、主審の対応を分けています。
軽い負傷
競技者が軽く負傷しただけの場合、主審は、ボールがアウトオブプレーになるまで、プレーを続けさせることができます。選手が痛そうにしていても、すぐに試合が止まらないのは、このためです。
重い負傷
重い負傷の場合は、主審がプレーを止め、負傷した競技者をフィールドの外に出します。競技規則は、「負傷した競技者は、フィールド上で治療を受けてはならない」としています。
担架とメディカルスタッフ|入場は主審の許可から
医師や担架を運ぶ人は、勝手にフィールドへ入ることはできません。主審が入場を許可して、はじめてフィールドに入れます。
- 主審がメディカルスタッフや担架の入場を許可したら、負傷した競技者は、担架か自分の足で、フィールドを出なければならない
- この指示に従わない競技者は、反スポーツ的行為で警告を受ける
- 負傷した競技者が、警告や退場になる場合は、フィールドを出る前に、カードが示される
担架を使うかどうかは、状況によります。競技規則では、担架でも、自力でも、フィールドを出ればよいとされています。
実際に観戦へ行く予定が立ったら、初心者におすすめのJリーグ観戦ガイドもあわせてチェックしてみてください。
復帰の条件|再開後1分と、主審の許可
フィールドの外で治療や診断を受けた競技者は、プレーが再開されてから1分が経過するまで、フィールドに戻れません。復帰するときは、主審の許可(合図)が必要です。
- ボールがインプレーのときは、タッチラインからフィールドに入る
- ボールがアウトオブプレーのときは、どの境界線からでも入れる
- 1分の計測は、プレーの再開のときから始まり、時計を止めずに数える
- 1分が経過する前に前半が終わった場合は、後半の開始時から復帰できる
2026/27シーズンの競技規則改正では、診断や治療を受けた競技者に、再開後1分間、フィールドの外にいることが求められるようになりました。試合のテンポが乱れるのを減らすことと、メディカルスタッフがフィールド外で負傷の程度を判断する時間を確保することが、目的とされています。
1分間離れなくてよい、主な例外
| 例外の場面 | 内容 |
|---|---|
| GKの負傷 | GKが負傷したとき |
| GKと競技者の衝突 | GKとフィールドプレーヤーが衝突して、手当てが必要なとき |
| 同じチームの競技者の衝突 | 味方同士が衝突して、手当てが必要なとき |
| 重い負傷 | 脳振盪などの頭部負傷、心臓に関わる問題、生命を脅かす症状など |
| 相手の反則 | 相手が警告や退場になる反則で負傷したとき |
| PKのキッカー | ペナルティーキックを蹴る競技者が負傷したとき |
| 診断が不要なとき | 競技者が診断は不要と答えたとき(その負傷でプレーが止まった場合を除く) |
| 自ら退出したとき | 再開を遅らせないよう、競技者が自分でフィールドを離れたとき |
これらの場合は、フィールド上で治療を受けられます。メディカルスタッフには、フィールド上で初期診断を行うのに十分な時間が与えられるべきだ、とされています。
出血があるときの対応
競技者が出血している場合は、主審が、その競技者をフィールドの外に出します。復帰できるのは、出血が止まり、ユニフォームや用具に血が付いていない状態で、主審の合図があってからです。
再開のしかた|ドロップボール
負傷でプレーを止めた場合、ほかの理由で止めたわけではなく、反則も関係していなければ、ドロップボールで再開します。反則があった場合は、その反則に応じた再開になります。
負傷対応は、競技規則の面でも、選手の安全を守ることを前提にしています。そのため、重い負傷の可能性があるときは、試合の進行より、負傷した競技者の状態の確認が優先されます。
追加時間との関係
負傷した競技者の状態を確認したり、フィールドの外へ運び出したりするのに、使われた時間は、追加時間に考慮される項目のひとつです。試合の最後に表示される追加時間は、こうした中断の時間も含めて、主審が判断しています。
1分間ルールはいつから、何のために
2026/27シーズンの競技規則改正は、2026年2月28日のIFAB年次総会で承認されました。発効日は2026年7月1日で、それ以前に始まる大会では、早期に適用することもできます。Jリーグは、2026/27シーズンから適用する見込みとされています。
負傷への対応の改正は、時間稼ぎ対策とあわせて、試合のテンポを改善する目的で行われました。負傷を理由にプレーが止まったあと、競技者がすぐにフィールドへ戻ると、試合の流れが何度も途切れてしまいます。そこで、再開後に1分間、外にいることで、治療と診断の時間を確保しつつ、試合を進めやすくしています。
観戦者が誤解しやすい点
- 「倒れたら、すぐに試合が止まる」とは限らない。軽い負傷では、ボールが出るまで続く
- 「治療を受けたら、必ず1分間外にいる」わけではない。GKの負傷など、例外にあたる場合がある
- 「担架が入ったら、必ず担架で運ばれる」わけでもない。自力で退出する場合もある
- 「1分」は、負傷が起きた時点からではなく、プレーが再開されたときから数える
脳振盪が疑われる場合の交代の扱いは、Jリーグの交代ルールで解説しています。頭部の負傷は、1分間ルールの例外としても挙げられています。
観戦で注目したいポイント
- 選手が倒れたとき、すぐにプレーが止まるか、ボールが出るまで続くか
- 主審が、メディカルスタッフを呼ぶ合図を出した場面
- 担架が入ったあと、負傷した選手がどのように退出するか
- 治療を受けた選手が、再開後1分間は外にいるか、例外にあたるか
- 終盤の追加時間の表示と、その前の負傷対応の様子
時間稼ぎとの関係はサッカーの新ルール2026/27、カードの見方はサッカーのイエローカードとレッドカードの基準で解説しています。
よくある質問
Q. なぜ、治療を受けた選手はすぐに戻れないのですか。
2026/27シーズンの改正で、診断や治療を受けた競技者は、再開後1分間、フィールドの外にいることになったからです。試合のテンポを保ち、メディカルスタッフが外で負傷の程度を判断する時間を確保するための仕組みです。
Q. 担架は、必ず使うのですか。
いいえ。主審がメディカルスタッフや担架の入場を許可した場合、競技者は担架か自力でフィールドを出ます。自力で動ける状態なら、担架を使わずに退出します。
Q. GKが負傷したときも、1分間は外にいるのですか。
いいえ。GKの負傷は例外で、フィールド上で治療を受けられます。
Q. 治療のために出た選手が、ピッチに入るときの合図は誰が出しますか。
主審です。復帰には、主審の許可(合図)が必要で、ボールがインプレーなら、タッチラインから入ります。
Q. 前半の終わり際に負傷したら、1分はどうなりますか。
1分が経過する前に前半が終わった場合は、後半の開始時から復帰できます。
まとめ|止め方、運び出し方、戻り方を知ると、試合の中断が分かる
負傷が起きたときは、軽ければ続行、重ければ主審がプレーを止めます。メディカルスタッフや担架は、主審の許可でフィールドに入り、治療を受けた競技者は、再開後1分たってから、主審の許可で復帰します。例外もあるので、中断の場面では、主審の動きと、例外にあたるかどうかに、注目してみてください。


コメント