盗塁は、プロ野球の中でも「ルールが変わると数字が動く」記録のひとつです。MLBでは2023年にベースの拡大などの改正があり、盗塁数が大きく増えました。NPBでも2026年から拡大ベースが導入され、盗塁数の変化が注目されています。この記事では、NPBの盗塁数の推移と、MLBとNPBのルール改正を、公開された資料をもとに整理します。
NPBの盗塁数は、NPB公式サイトの各年度の「チーム打撃成績」(セ・パ12球団)を合計したものです。MLBの数字とルール改正の内容は、SPAIAとスプレッドスポーツの記事に基づきます。盗塁の基本ルールは盗塁と牽制のルール、成功率の考え方は盗塁の条件と成功率の考え方で解説しています。
先に結論|NPBの盗塁は2010年の1,025個から減少傾向、2026年は814個
- NPBの盗塁数(両リーグ合計)は、2010年の1,025個から、2023年の791個まで減った
- 2025年は921個と戻したが、2026年は814個。拡大ベース導入後の初年度に、増えてはいない
- MLBは2023年のルール改正で、盗塁数が2,486個(2022年)→3,503個(2023年)と約40.9%増
- NPBが採用したのは拡大ベースのみ。MLBのようなピッチクロックや牽制制限はない(SPAIA)
NPBの盗塁数の推移(両リーグ合計)
| 年 | セ・リーグ | パ・リーグ | 合計 | 1チーム1試合あたり |
|---|---|---|---|---|
| 2010 | 464 | 561 | 1,025 | 0.59 |
| 2011 | 348 | 636 | 984 | 0.57 |
| 2013 | 464 | 557 | 1,021 | 0.59 |
| 2019 | 429 | 540 | 969 | 0.56 |
| 2023 | 336 | 455 | 791 | 0.46 |
| 2024 | 342 | 478 | 820 | 0.48 |
| 2025 | 417 | 504 | 921 | 0.54 |
| 2026 | 447 | 367 | 814 | 0.47 |
※年度は連続ではなく、節目になる年を選びました。「1チーム1試合あたり」は、合計盗塁÷(12球団×試合数)で計算した値です(2010〜2013年は144試合、2019年以降は143試合)。
2026年|パ・リーグの盗塁が大きく減った
2026年のNPBは、セ・リーグの盗塁が447個と、2025年(417個)より増えた一方、パ・リーグは367個と、2025年(504個)から大きく減りました。パ・リーグでは、2025年に110個の楽天が72個、98個のソフトバンクが77個になっています。拡大ベースが導入された年なのに、リーグ全体の盗塁数が増えなかった点は、注目に値します。
| 年 | セ | パ | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 417 | 504 | 921 |
| 2026 | 447 | 367 | 814 |
この数字の原因は、この記事では特定できません。チームの戦術、選手の入れ替わり、投手のクイックモーションの工夫など、多くの要因が考えられます。
MLB|2023年のルール改正で盗塁が増えた
スプレッドスポーツの記事によれば、MLBは2023年に次のルール改正を行いました。
| 改正 | 内容 |
|---|---|
| ピッチクロック | 無走者時15秒以内、有走者時20秒以内に投球する(2023年当時) |
| 牽制の制限 | 牽制は2回まで。3回目でアウトにできなければボーク |
| ベースの拡大 | 本塁以外のベースが約7cm大きくなる |
SPAIAの記事では、MLBの総盗塁数は、2022年の2,486個から、2023年は3,503個(約40.9%増)、2024年は3,617個と増えました。盗塁成功率は、2022年の75.4%から、2023年は79.9%、2024年は79.0%でした。盗塁の損益分岐点は、一般に成功率72〜75%程度とされています。
| 項目 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|---|
| MLB総盗塁数 | 2,486 | 3,503 | 3,617 |
| 盗塁成功率 | 75.4% | 79.9% | 79.0% |
なお、同記事は、この増加は複数のルール変更の相乗効果で、ベース拡大だけによるものとは言い切れないとしています。
NPB|2026年から拡大ベース
東京スポーツによれば、NPBは2026年シーズンから、一塁から三塁のベースを現行の約38cm四方から約46cm四方(15インチから18インチ)に拡大しました。今春キャンプから試験的な運用も始まり、日本では今季が初めてだと伝えられています。
SPAIAの記事によれば、拡大により、ベースの面積は225平方インチから324平方インチと約44%増え、一塁・二塁間、二塁・三塁間の距離は約11.43cm、本塁と一塁・三塁の間は約7.62cm短縮されます。走行時間では約0.014〜0.02秒の差と計算されています。導入の目的は、故障リスクの軽減と、盗塁や積極的な走塁の増加による得点機会の増加とされています。
また、同記事は、NPBは拡大ベースのみを採用し、ピッチクロックや牽制回数の制限はないため、MLBと同じ効果がNPBでも出るとは断定できないと述べています。
ピッチクロックは導入が決まったが、時期は未定
熊本日日新聞の配信記事によれば、2026年8月3日にNPBと12球団の実行委員会が開かれ、ピッチクロックの導入が満場一致で可決されました。大リーグの規定では、無走者の場合は15秒、走者がいる場面は18秒以内に投球動作に入る必要があり、超過すると1ボールが加えられます。NPBでの秒数は今後協議して決め、採用時期は未定とされています。
また、NPBは2026年度の野球規則改正(2025年11月発表)で、投球動作に関連する規則の整理を行っています。詳細は、NPB公式の規則改正のページをご確認ください。
盗塁の損益分岐点と戦術
盗塁は、成功率が一定のラインを超えて初めて、チームの得点に貢献すると言われます。SPAIAの記事は、損益分岐点を成功率72〜75%程度としています。ベースが大きくなると塁間が短くなり、成功率が上がる可能性があるため、試みる回数が増えることが期待されます。ただし、NPBでは2026年の実績で盗塁数は増えていません。
観戦のポイント
- 走者が出たときの、投手のクイックモーションと牽制の回数に注目する
- 拡大ベースでの、塁間の短縮が、セーフ・アウトの判定にどう影響するかを見る
- 盗塁の成功率(成功数÷企図数)を、チームごとに見比べる
- ピッチクロックの導入時期と、秒数のルール決定の動向を追う
用語の整理|盗塁企図・成功率・拡大ベース
- 盗塁企図:盗塁を試みた回数(成功数+盗塁死)
- 盗塁成功率:成功数÷企図数。損益分岐点は72〜75%程度とされる
- 拡大ベース:一塁〜三塁のベースを大きくしたもの。本塁は変更なし
- ピッチクロック:投手が投球動作に入るまでの制限時間。超過すると不利なカウントが付く
数字を読むときの注意点
- NPBの盗塁数は、節目の年のみで、連続した推移ではない
- 2026年は拡大ベース導入の初年度で、1年だけでは傾向を断定できない
- 盗塁数は、チームの戦術や選手構成にも左右される
- MLBとNPBでは、ルール改正の内容が異なり、単純に比べられない
日本ハムの新庄剛志監督が、拡大ベースへの対策として、野手に長い走塁用の手袋を使わせて盗塁成功率を上げる構想を明かしたと、東京スポーツは伝えています(2026年1月の12球団監督会議)。ルール改正に合わせて、各チームが戦術を工夫していることがわかります。今後のシーズンで、盗塁を積極的に仕掛けるチームが増えるかどうか、数字の動きを追ってみるのも観戦の楽しみ方です。
よくある質問
Q. 拡大ベースでNPBの盗塁は増えましたか?
2026年のNPBの盗塁数は両リーグ合計で814個で、2025年の921個を下回りました。セ・リーグは増え、パ・リーグは減っています。原因は、この記事のデータからは判断できません。
Q. MLBの盗塁増加はベースだけが原因ですか?
SPAIAは、ピッチクロックや牽制制限との相乗効果で、ベース拡大だけが原因とは言い切れないとしています。
Q. ピッチクロックはいつ導入されますか?
2026年8月3日の実行委員会で導入が決まりましたが、採用時期は未定とされています。最新の情報は、NPB公式発表をご確認ください。
まとめ|ルール改正でMLBは増加、NPBはまだ読み切れない
MLBは2023年の改正で盗塁数が約4割増えました。NPBは2026年から拡大ベースを導入しましたが、盗塁数は814個と、2025年の921個を下回りました。ピッチクロックの導入時期は未定です。今後の数字の動きに注目しましょう。
出典:NPB公式サイト「各年度 チーム打撃成績」(npb.jp)、SPAIA「NPBの統一ベース(拡大ベース)」(spaia.jp)、スプレッドスポーツ(spread-sports.jp)、東京スポーツ(2026年1月21日)、熊本日日新聞「『ピッチクロック』の導入決定」。2026年10月時点で確認。


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