サッカーの試合中に、主審が耳に手を当てて、ピッチ脇のモニターへ向かう場面を見たことはありませんか。あれが「VAR」による確認です。この記事では、VARの意味、確認される場面、判定までの流れを、初心者向けに整理します。
Jリーグでの導入の経緯も、出典で確認できた範囲でまとめます。
結論|押さえたい4つのポイント
- VARは、映像を使って、主審の重大な判定ミスを減らすための仕組み
- 確認の対象は、得点、PK、退場、警告・退場の人間違えなど
- 最終的に判定するのは、あくまで主審
- Jリーグでは、2025年のJ1昇格プレーオフで、準決勝から全3試合にVARが使われた
VARとは?
VARは、ビデオ・アシスタント・レフェリーの略です。映像を見る審判員が、主審を補佐する仕組みを指します。
日本サッカー協会(JFA)の説明によると、VARの役割は、主審が見ることができなかった重大な事実があった場合に、注意を促すことです。勝敗に影響する重大な判定ミスをなくすことが目的で、「完璧な判定」を求めるものではありません。
VARが確認できる4つの場面
VARが確認に入れるのは、試合を左右する重大な場面に限られています。Jリーグの解説では、次の4つが挙げられています。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 得点 | ゴールが認められるかどうかの確認 |
| PK | PKかどうか、判定の確認 |
| 退場 | 一発退場に当たるプレーかどうかの確認 |
| 警告・退場の人間違え | 違う選手にカードを出していないかの確認 |
主審の目が届かない場所での暴力行為も、確認の対象になります。
判定までの流れ
VARが入る場面の、基本的な流れは次のとおりです。
- VARが、ライブ映像を確認し、重大な見落としがないかを見る
- 事実を確認できたら、VARが主審に無線で伝える
- 主審が、必要に応じて、ピッチ脇のモニターで映像を確認する
- 主審が、最終的な判定を下す
オフサイドやゴールなど、映像で客観的に明らかな場合は、主審がモニターを見ず、VARとの交信だけで判定を変えることが多い、とされています。
VARの基本の考え方
VARは、「最少の干渉で、最大の利益を得る」ことを目標にしています。主審の判断を尊重し、あくまで情報を補う役割です。
- はっきりとした明白な間違いを、正すこと
- 主審の判定の好みや、最良の判定を探すものではない
- 最終的な判定の責任は、主審にある
そのため、主審が自分の目で見て判断したプレーについては、映像で確認しても、明白な間違いがなければ、元の判定が支持されます。
難しい場面もある
Jリーグの解説では、主観によるファウルやハンドの判定は、難しいとされています。映像で見ても、意見が分かれる場面があるからです。
また、VARの運用には、会場へのカメラの設置や、オペレーションルームの機材、VARを担当する人材の育成が必要だと説明されています。
日本での導入の経緯
出典で確認できた範囲で、日本での流れを整理します。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2018年 | VARの使用が、競技規則で正式に認められる。ロシアW杯で使用 |
| 2019年 | 日本では、ルヴァンカップ準々決勝以後と、J1昇格プレーオフ決勝で使用 |
| 2020年 | J1の全試合での使用が発表される |
2025年のJ1昇格プレーオフでは、J2の3位から6位の4クラブが出場しました。VARは、準決勝と決勝の全3試合で使われました。準決勝は12月7日、決勝は12月13日です。
2022年シーズン以降は決勝のみでの使用でしたが、2025年は初めて、準決勝から使われました。
実際の例|2019年ルヴァンカップ決勝
JFAの解説では、2019年のルヴァンカップ決勝(札幌対川崎)が例として挙げられています。前半29分、ペナルティーエリア内で、川崎の登里亨平選手が倒れた場面です。
主審は、自らの判断で、選手が自分で倒れたと判定しました。VARは映像を確認しましたが、重大な見落としはないとして、主審の判定を支持しました。このように、VARが確認しても、判定が変わらないケースも多くあります。
VARまわりの用語
中継や解説では、いくつかの用語が出てきます。意味を整理しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| VAR | 映像を見て、主審を補佐する審判員 |
| アシスタントVAR | ライブ映像をチェックして、VARを補佐する審判員 |
| ライブ映像 | 試合中のリアルタイムの映像 |
| ディレイ映像 | 少し遅れて流れる映像。疑わしい場面を、細かく検証するために使われる |
Jリーグの解説では、VARは基本的にライブ映像を見て、疑わしい場面では、約3秒後のディレイ映像に目を移し、オペレーターと連携して検証する、と説明されています。
VARがあることで、観戦はどう変わる?
VARが入ると、ゴールやPKの場面で、判定が出るまでに少し時間がかかることがあります。喜びを爆発させる前に、確認が入る場合もあります。
一方で、見逃されてしまった重大なミスを、映像で正せるようになります。試合の結果に対する、納得感を高めることにつながる、と期待されています。どちらの面も、あわせて知っておくと、判定を待つ時間の見方が変わります。
スタジアムで見るときのポイント
- 主審が耳に手を当てたら、VARとの交信中かもしれない
- 判定が出るまでは、結果を待つ
- ゴールが決まったあとも、確認が入る場合がある
ゴールが決まっても、確認が入ると、判定が出るまでに少し時間がかかります。その間は、周りのサポーターと一緒に、結果を待つ時間も、観戦の一部です。
観戦の基本は初心者におすすめのJリーグ観戦ガイドやサッカー観戦をもっと楽しむ5つのポイントでも紹介しています。
判定の伝わり方は、スタジアムによって異なります。
よくある質問
VARが判定を決めるのですか?
いいえ、最終的に判定を下すのは、主審です。VARは、主審を補佐する役割です。
VARが確認するのは、どんな場面ですか?
得点、PK、退場、警告・退場の人間違えといった、試合を左右する重大な場面に限られています。
Jリーグのすべての試合で、VARは使われますか?
J1の全試合での使用は、2020年に発表されています。2025年のJ1昇格プレーオフでは、準決勝と決勝の全3試合で使われました。最新の運用は、Jリーグの公式発表で確認してください。
VARが確認すれば、必ず判定が変わりますか?
いいえ、必ずではありません。重大な見落としがなければ、主審の判定が支持されます。2019年のルヴァンカップ決勝の例でも、判定は変わりませんでした。
オフサイドも、VARが確認しますか?
得点につながる場面では、確認の対象になります。オフサイドのように、映像で客観的に明らかな場合は、主審がモニターを見ず、VARとの交信だけで判定を変えることが多い、とされています。
VARは、何のために使われるのですか?
勝敗に影響する重大な判定ミスを、減らすためです。主審の判断を尊重しつつ、見落としを補う仕組みです。
まとめ
VARは、映像を使って、主審の重大な判定ミスを減らすための仕組みです。確認の対象は、得点、PK、退場、警告・退場の人間違えなど。最終的な判定は、あくまで主審が下します。
仕組みを知っておくと、判定を待つ時間も、観戦の一部として楽しめます。
出典:日本サッカー協会(JFA)「VARについて」(2020年1月)、Jリーグ「VARの解説」、サッカーキング「2025 J1昇格プレーオフでのVAR導入」(2025年10月)。一部は過去の記事に基づくため、最新の運用は公式発表で確認してください。


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